カーステンボッシュ国立植物公園

南アフリカは世界6大花卉王国の一つで、南アフリカで開花する植物種は全世界の10%を占めます。南アフリカ全国に2万1千種類以上の花卉植物があります 
。カーステンボッシュ国立植物公園はテーブルマウンテンの東斜面に位置し、面積は560ヘクタール、園内の植物品種は約1万種あり、全国の植物の40%に達します。中でも2600種類はケープ半島の特有種で、通年花が絶え間なく咲き、その美しさは見飽きることがなく、春は特に一面の花畑が海のようにどこまでも続く奇景を見ることができます。

ケープタウンは地中海性気候に属し、冬は湿潤で夏は乾燥しています。そのためこの地に生えるのはほとんどシャクナゲ(石楠花)科の花木、ツツジ科、アミリス、リュウゼツラン等の冬雨性植物で、夏雨性植物は本来比較的栽培が少なかったのですが、1930年代よりテーブルマウンテンの斜面に貯水ダムが築かれてから、夏季の干ばつの問題も解決されました。夏雨性のキングプロテア、マウンテンローズ、朱蘭、カイドウ、ヒナギク等が、その季節に満開になり、美しさに見飽きることがありません。花卉の季節はとてもはっきりしているので、植物園内の景観と色彩は、四季の移ろいとともにその時々によって特色があり、千変万化で、絶対に重複することがありません。

植物園の起源は17世紀にまで遡ることができます。当時オランダ人移民のリーダーであるファン・リーベック(Van Riebeeck)は開墾の任務のため人々を率いこの地を切り開き、大量に原始林の木々を伐採しましたが、彼は自然景観が急速に悪化するのを目にして、テーブルマウンテンの東斜面に保護地区を設け、伐採を禁止しました。現在植物園内にはリーベック柵が(Riebeeck's Hedge)1本残されており、おそらく当時の遺跡でしょう。この保護地区はその後やって来た開墾者たちにもしっかり守られ、規模も少しずつ大きくなりました。1895年、当時のケープ州知事のローズ(Cecil J. Rhodes)は9千ポンドでこの地を購入し、国立公園整備の計画を開始しました。大量に花卉植物を植えるだけでなく、その中に散歩道を敷設し、ようやく今日の基礎ができたのです。ローズ(Cecil J. Rhodes)は1902年に世を去りますが、遺言には植物園を国に寄贈せよと明言されており、こうして南アフリカ初の民間に開放された植物園となったのです。