南アフリカのワイン

南アフリカのワインを世界的に有名なものにしたのは、いずれもオランダ、フランス、イギリスのおかげとも言えます。1652年より、オランダ人はケープタ
ウンに上陸しました。フランスの宗教弾圧の影響を受け、ナント勅令の迫害から逃れるために、南アフリカのケープに着いた220名のユグノー(Huguenot)はこの地まで来ました。その後イギリス人占領され、イギリスの植民地となりました。しかしながら、オランダ、フランス、イギリスの先人たちの開発が今日のワインの里の特殊な民族文化的風情を生み出してきたのです。

ケープ地区はアフリカの南方地方に位置するため、典型的な地中海性気候になっており、冬は雨が多く、夏は乾燥しています。葡萄栽培の専門家は、世界の上質ワイン用の葡萄は緯度34度の位置付近での栽培が好ましく、南アフリカのケープ地区はまさにこの位置にあり、しかも赤道に近いので、日光の強さも十分高く、ケープ地区の夏の1日の最長日照時間は14時間もあります。当時のイギリス人はこの絶好の土地を、上質のワイン用葡萄栽培に最適だと見初め、同時にイギリス人もヨーロッパのワイン釀造技術をアフリカに伝えました。こうしてケープ地区で葡萄栽培が始まり、1659年2月にケープ初の葡萄が搾られ、その後ケープはワイン生産のパラダイスになっていったのです。

南アフリカは現在世界で有名な6大葡萄生産区の一つです。生産されるワインは世界総生産量の3%を占めます。その主要ワイン生産地区はケープ地区に分布しています。ケープ地区の土地と気候がワイン生産用の葡萄栽培に非常に適しており、世に聞こえたワイン生産王国となり、山野一面の葡萄畑は、広大かつ圧巻で、その風景は心地よく、心を晴れやかにしてくれます。ここのすべての市民は地元で生産される芳醇で美しい色のワインを自慢しています。

ケープタウンに来たらワインの里へ足を延ばすのをお忘れなく。最も有名な2箇所のワインの里はそれぞれ ステレンボッシュ(Stellenbosch)とパール(Paarl)と言い、ケープタウン市街地から車で約2時間の距離です。沿道では果てしないワインのシャトーを眺め、またシャトーでしばし休憩し芳醇なワインを試飲することができます。最も著名なワインが楽しめる場所はテーブルマウンテンから遠くないシャトーである–––グルートコンスタンシア(Groot Constantia)農園で、ここは多くのケープオランダ式のガーデン中で最も豪華な所です。ここはかつてケープの葡萄栽培の創始者である「ステル総督の家」でした。ケープの往時の社会及び文化生活を描く記念館となっており、中には南アフリカ最古の酒造場センターがあります。1685年に建てられたワイン博物館は、オランダ式の老建築物で、白塗りの壁と優雅な鏡型屋根のデザインになっていて、館内には17世紀の時期の家具、ガラスの器及び陶磁器等の骨董が陳列されています。ここの地下室は大きなワインのカーヴになっており、中には多くの巨大な丸い木の樽がびっしり置かれています。大きい物で容量は10,000リットル、小さい物で5,000リットルの容量です。樽には発酵した葡萄が入っており、樽には多くの小さな管が刺さっています。これは温度をコントロールするもので、ワインの甘さは温度によって増減するからです。これが南アフリカワインのボトルに表示されている「辛口」、「ライトボディ」、「ミドルボディ」、「フルボディ」の由来となっています。

ここで製造するワインはまず葡萄を搾り、赤ワインの場合は葡萄の皮を取り除かず、皮を利用してワインの色深みを加えます、4日経った後、皮を濾し取って搾り汁をワインタンクの中で発酵させ、約1ヶ月後に木の樽に移し、更にワインカーヴ内に安置します。少なくとも1年半経たないと瓶詰にして売り出すことができず、赤ワインは長く寝かせれば寝かせるほど香りが高まります。白ワインの醸造は比較的簡単で、葡萄の皮を取り除いた後汁を搾って、タンクに入れて発酵させ、1ヶ月後に更にきれいなタンク内に移して、2ヶ月後には瓶詰にして売り出すことができます。